夕陽


「これは妖刀だよ。別名紅桜。
赤く染まった刀身で、生きているともいわれている。
しかも面白いことに、こいつは主人を選ぶ。
いわば主人しか刀を抜けないんだ。
鞘ならともかく、刀は持つこともできない。
まぁ俺もこれは抜くことはできるけどね。」

ぺらぺらとしゃべる栄太郎。
うーん。そりゃ以外。

「え?でも妖刀が抜けたから何なの?
なんか特殊な能力使えたりしてランデブーなの?」

「そのランデブーだよ」

・・・。
え何この話こういう戦闘モノでしたっけ?
え、何あたしかめ○めはでも使えるようになるの?

「ん。そういう能力じゃないけど。」

「え?!なんで分かった?!超能力?!」

「全部声にでてるよ」

「まじでか・・・。
まぁそこはおいといて!
栄太郎もなんかの能力使えるの?」

「まぁ使えるね。能力っていったって
『人』よりも優れた身体能力、記憶力、治癒能力だけだよ。
俺らの中ではその集団を、『鬼』と呼ぶ。」


栄太郎の顔はどことなく真剣で、嘘を言っているようには見えなかった。


「でもなんで?なんであたしが必要なの??」

「俺らは減少した鬼を保護し、そして増やしていこうと
思っている。そして、鬼同士から生まれた子は強くなるんだ。
よりよい鬼を増やすために、この方法が一番いい。
んで智咲。智咲は両親が2人とも鬼なんだ。
見れば分かる。智咲は鬼としても王族級に鬼の血が濃い。俺もだよ。この意味が分かる?」


「私のお父さんと、お母さんは・・・鬼?」

目の前が真っ白になりそう。
だってあれ?あたし普通の人間だよね・・・?
え何この急展開。

「とにかく。すぐに新撰組を出て、
こちら側に来てくれないか?」


すっ、と栄太郎があたしにむかって手を差し伸べる。
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