夕陽










「・・・・いや誰もいねーけど?」


不思議そうな顔をして戻ってきた。



「いやァァァァァ!!絶対誰かいるゥゥゥゥ!!!死ぬ死ぬ死ぬぅ!足首痛いもん!ぎゅーって!ぎゅーーって誰か掴んでる!ものっそい握力ゥゥゥ!!さっき黒い髪の毛がゆらゆらしてたァァァ!」


ぽん。


総司が私の肩に手をおく。そしてゆっくりと語り始める。



「たしかここは昔、二人の男女が愛し合っていた場所なんです。しかし男の浮気が発覚して女はこの湖に飛び込んで死んでしまいました。そして今も浮気した男と浮気の原因となった女を呪い続け」

「いやああああああ!やめて!呪われる!幽霊がァァァ!!」





どうでもいいから誰かお願いだから私を湖から引き上げてよォォォォ!!!






「・・・ろしてやる。コロシテヤル・・・ウラミツヅケル・・・」


耳元で声がする。


「・・・え」


長い黒髪を垂らした女の人が、私を見下ろしている。前髪は長すぎて顔が見えない。しかもそこから少しだけ見える目が怖い。
目線はすごく上からで・・・え、池に立ってね?


「ギィィィィィヤァァァァ!!!!!誰か誰か誰か誰かって誰もいねぇぇぇぇぇ!!あんちくしょう追いていったァァァァ!!!!」



湖の周辺は、智咲と幽霊一体。



「・・・ユルサナイ。」




「・・・・ひえ。」




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