水晶玉は恋模様
「牡丹ー。また同じクラスだ!
ほんっと、腐れ縁」

そう言いながら、それでも嬉しそうに走ってくるのが
田代 圭子(たしろ けいこ)。
私の幼馴染で、一番の親友である。

「ねぇねぇ、望はどうだった?
まじ、B組?同じじゃん!」

圭子がそう言いながら引っ張ってくるのは、
伊藤 望(いとう のぞみ)。
彼女と圭子、それから私はいつも一緒の3人組。
望は活発な圭子とは反対だけど、とっても頭が良くて、
冷静に物事を解釈してくれる頼りになる奴。
圭子はいつも、私や望にビタミンをくれる。
私は2人にとってどんな存在なのかなーと思っていたら、
『ムードメーカー&トラブルメーカー』と言われてしまった。

「ねぇねぇ、期末テストの結果、どうだった?」

圭子にそう聞かれ、私は曖昧に返事を返す。
望は『もちろん完璧』と呟いた。

「でも、牡丹って何気に頭いいから、ほんと、馬鹿に出来ないよねー」

圭子がババ臭く語りかけてくる。
私は思わず噴出してしまった。

「圭子、その喋り方似合いすぎ!」

つられて望も吹き出す。
私達はゲラゲラと笑いあっていた。
教室に着くと、見慣れないメンバー達が体をカチカチにして座っている。
何だかガリ勉の多いクラスだな。
牛乳瓶の底みたいに分厚い眼鏡をかけたおかっぱ頭の女の子までいる。
いったい何年前の受験生だ。

先生が教室に入ってきたようなので、私達は席に座った。
圭子の苗字が『田代』で、私は『千葉』。
出席順なので私達は側の席に座っている。
先生が入ってきてからも、圭子のオシャベリは止まない。
圭子の隣に座っていた男子が、迷惑そうに身をよじらせた。

< 2 / 27 >

この作品をシェア

pagetop