あひるの仔に天使の羽根を


もっともっと。


…強くなって、私という存在を拡大しなくては。


安心して頼られる…そんな自分にならねば。



ああ、誰もが…


もがいて、もがいて。


皆それぞれに苦しみ足掻(あが)きながら。


美しいとか無様だとか、体裁は何ら関係なく。


ただ1人の人間として、皆のように悩みながらも…前に進むことが出来るのなら。



きっとその先にあるものは――


――桜ちゃん、大好きだよ?


私が…真に求めるもののような気がするから。





「他を…信じるようになったか」




不意に緋狭様はそう言って、




「ようやく、だな桜。

"無神論者"の出発(たびだち)だ」




満足したような…艶やかな笑顔を見せた。



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