あひるの仔に天使の羽根を
 

――あんた、何で笑わないのよ!!


血に塗れた俺を、こちら側の世界に引き摺り込んだのはお前だ。


――その黒いてらてら光る奴らをやっつけて!!!

――野菜を食え!!! ご飯粒を残すな!!! 

――煌、緋狭姉が怒り狂ってるから、早く逃げ…ああ遅かった!!!


非日常に住まう俺の…ほっと出来る場所。


――煌も大好きな幼馴染だよ?


俺の還る場所を作ったのは、芹霞だ。


――煌が死ぬならあたしも死ぬよッ!!!


今更――

なかったことにしようなんて許さねえ。


芹霞が俺を見捨てるなんてありえねえ。


そう信じていたいのに、不安になる心。


櫂と玲がついている。


俺という存在が、芹霞を引き留める決定的要因にならなくても、あいつらなら絶対芹霞を引き留める。


第一、櫂が渡すわけがねえ。


俺達は皆…同じ想い。


櫂。


お前の"永遠"を消すなよ。


何があっても、壊れるなよ。


お前は、頼みの綱なんだ。


ああ、櫂。


お前…大丈夫か?


お前は今…何を聞いている?

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