あひるの仔に天使の羽根を

「俺も、お前の過去を…心を、なかったことにはしたくない。これは…"永遠"をかけた勝負だ」


「随分と自信ありげだね、紫堂。もしオレが勝ったらどうするんだ?」


「勝たせない。絶対に」


「はははは!!! そういうふてぶてしいのが気に入らないね!!! 願えば思い通りになると…その傲慢さ、そして貪欲さ!!!」


「ああ。お前にない…オレの武器さ」


櫂が例の如く、不敵な様を見せた時。


「………。お前には任せられないね。せりの苦労が目に見える」


険のある顔を見せた久遠が立ち上がった。


紅紫色の瞳には戦意がぎらぎらと。


「どうかな? 存分に甘やかすからな、俺は。

後悔させる気はない。

だからこその…『気高き獅子』だ」


それを櫂は愉快そうに受け入れて。


そして――

漆黒の瞳にも戦意がぎらぎらと。



「……本当、気に入らない」



「あ、あの…?」


一体、何を話しているのか。


どう欲目で見ても、決して友好ムードではないことだけは確かだ。


雲行き怪しい2人を、宥(なだ)めようと手を伸ばせば。


「放っておけば?」


玲くんが笑いながら言った。


「これは"ゲーム"のラスボス戦。

これが終わらないと、"ゲーム"は終了しない」


「だ、だけど…なんか、前よりも険悪なんだけど…」


「お前…意味判ってねえのかよ」


首を捻ると、煌が溜息をついた。


「俺でさえ判るのにさ…」


「本当。単純な計算問題も出来ないくせに、そういうことは聡いよね」

「あ!?」

「年齢計算…本当に判っていなかったなんて」

「桜まで何だよ!!?」


ごめん。あたしも煌と同類だ。

年齢って何のことだろう。

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