あひるの仔に天使の羽根を
「人工言語、か」
俺は薄く嗤う。
「配列の類型(パターン)から意味を探ればいいということか」
「だけどこの基本となる文字が全部で何種あるのかも判らないし、あったとしてもその組み合わせは何通りになるんだよ。
ああ、本当に僕のメインコンピュータが恋しいよ。
最低限……僕の支配下となりえる電力やPCがあれば……」
「やはり…駄目か?」
「うん。月長石からも僕の力は依然出せない」
苦笑した玲に、またもや遠坂が口を挟む。
「ねえねえ、師匠。師匠が電気使えない状態なのに、どうしてここの家、こんなに電気煌々なんだろうね?」
遠坂が口を挟んだ。
「ドーム状の外蓋が磁場狂わしているっていう話だろ? それに大体、電気というものに、師匠が扱えない特殊なものってあるのかい?」
「いや……電気は普通に1つの電気だと思うけれど」
俺は腕時計を見た。
「……俺の電波時計は狂ったまま。
だが、この家の時計は動いている」
俺が促した壁にかかっていた柱時計。
12時近い時刻を差したそれは、きっちりと秒針を刻んでいる。
「電気に……特定の…外部のものだけを弾くなんて、可能なのかよ…」
珍しく――
電気系統の問題で玲がぼやいた。
こればかりは玲の得意分野で、
俺が口を挟む余地はない。