あひるの仔に天使の羽根を


「人工言語、か」


俺は薄く嗤う。


「配列の類型(パターン)から意味を探ればいいということか」


「だけどこの基本となる文字が全部で何種あるのかも判らないし、あったとしてもその組み合わせは何通りになるんだよ。

ああ、本当に僕のメインコンピュータが恋しいよ。

最低限……僕の支配下となりえる電力やPCがあれば……」


「やはり…駄目か?」


「うん。月長石からも僕の力は依然出せない」


苦笑した玲に、またもや遠坂が口を挟む。


「ねえねえ、師匠。師匠が電気使えない状態なのに、どうしてここの家、こんなに電気煌々なんだろうね?」


遠坂が口を挟んだ。


「ドーム状の外蓋が磁場狂わしているっていう話だろ? それに大体、電気というものに、師匠が扱えない特殊なものってあるのかい?」


「いや……電気は普通に1つの電気だと思うけれど」


俺は腕時計を見た。


「……俺の電波時計は狂ったまま。

だが、この家の時計は動いている」


俺が促した壁にかかっていた柱時計。


12時近い時刻を差したそれは、きっちりと秒針を刻んでいる。


「電気に……特定の…外部のものだけを弾くなんて、可能なのかよ…」


珍しく――

電気系統の問題で玲がぼやいた。


こればかりは玲の得意分野で、

俺が口を挟む余地はない。


< 231 / 1,396 >

この作品をシェア

pagetop