あひるの仔に天使の羽根を
神父服の1人が、僕が倒した男を見つけて、
「あの"悪魔"がやったんだなッッ!!!手当てしないと」
そう言って男を肩に担いだ。
「……悪魔?」
思わず僕は聞き返してしまった。
「そう。それをアイツは望んだのだ。
そして――逃げ出した。
自らの誓約を破棄したのだ。
信徒でもないただのオトコのくせに」
そして2人の男は、全員男性専用扉に移動した。
「女性の皆様をお守りするのが、我らが努め。ご無事で何より」
社交儀礼的な言葉残して。
そして残されたのは僕と由香ちゃん。
僕の横にはぽかんと口を開けて固まる由香ちゃんが居る。
「師匠……」
彼女は言った。
「一体何だったんだろ」
同感だ。
そして、僕は思い出す。
全裸で逃げ込んだ、"悪魔"の少年の背中にあったのは烙印。
そこに描かれていた英字は、