あひるの仔に天使の羽根を
俺が咄嗟に気配を殺したせいか、俺には気づいていないようだ。
俺に背を向けるように大欠伸と伸びを始めた、体格はいいが…顔半分に醜悪な火傷の痕に覆われた男。
美形な神父服の奴らを見たばかりだから、すげえ見劣りして見える。
まあ、俺が言うのもおかしいけど。
俺は音を忍ばせて男の背後に回り――その首元に右腕を絡ませてくいと捻ると、男の身体から力が抜けて崩れ落ちた。
簡単に…呆気なく地に沈む神父の身体。
どうやら神父にも、素人と玄人が入り交ざっているらしい。
そして俺は気づく。
地下への道がある。
道が分岐していたようだ。
真っ直ぐか、地下か。
正直――
「………」
地下からは尋常じゃねえ気が流れていて、出来るならば忌避したい。
存在自体が次元を異にする凶悪な気。
これは――
2ヶ月前の、藤姫の儀式の間に流れていたものと種が似ている。
だけど。
よく似て非なる、更なる邪悪に膨張する気。
顔が警戒に次第に強ばって、鳥肌が立ってくる。