あひるの仔に天使の羽根を

芹霞は――此処に俺の処にいるじゃないか。


芹霞と俺以外の男の未来なんて俺が許さない。


芹霞が他の男のものになるなんて俺は許さない。



それくらいなら俺は――


無理やりにでも俺が芹霞を――



「"櫂、好きだよ。

だから――抱いて?"」



芹霞は俺に艶めいた顔をして、俺の理性に皹を入れる。


欲しくて仕方が無かった芹霞。


ずっと求めていた芹霞。


俺が芹霞を拒む理由はないじゃないか。




だから俺は芹霞の腰を引き寄せて。


隙間がないくらい思い切り抱き締めて。


俺の想いを強さと熱さに変えて。


泣きそうなくらい切実な想いをもう一度――



「俺は…お前を離さない」



俺の視界にちらつく金緑石。


玲が贈った目障りなそれを俺は投げ捨てて。



甘く芳しく漂う魅惑的な匂いは、薔薇か芹霞か。


俺の思考も視界も白く靄がかって、


もう芹霞のことしか考えられない。



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