あひるの仔に天使の羽根を
「大丈夫だろうか……」
斜め上を向いて呟く桜ちゃん。
誰に向けられた言葉なんだろう。
「さて、敵は一掃しましたが……出口がありません。裂岩糸が顕現している間は、色々な部分を切りつけてみてたんですが、全く歯が立たない。だけど、こうしていても…酸素が減るばかり」
あたしと桜ちゃんは座り込んだ。
目の前には血の海。
そして屍。
それを眺めながら、今後のことを憂うあたし達。
「聞こえたアナウンスを信じるとすれば、解放まで30分。僕の体感では10分過ぎたってとこでしょうか。だとすればこのままではあと20分、お喋りをしていても酸素の無駄遣いですね」
「かといって黙っていて、酸欠に藻掻き苦しむなんて……」
桜ちゃんは考え込みながら、サバイバルナイフをくるくると指先で回転させて遊んでいた。
器用だから出来る芸当。
絶対、あたしは出来ない。
「ねえ芹霞さん。1つ方法があるんですけれど」
大きい目が妖しい光を湛えさせて、くりくりその目が動いた。
「なあに?」
首を傾けてその可愛い目を覗き込んだら、突如桜ちゃんが片手で顔を覆って俯いてしまった。
「……桜ちゃん!?」
慌てたあたしに、
「反則だ……こんな時に」
「は?」