サヨナラのその日までそばにいさせて。



診察室を出ると廊下にあるイスに空良が腰かけながら、本を読んでいる姿が目に入った。



「何してんの?」


「終わった?」


俺の声に気付くと、本を閉じて立ち上がった。



「咲希は?」


「ちゃんと送ってきたよ」



「そうか。で、お前は何しにきたん?」


「暇だからお前を迎えに来ただけだよ」


そう言って歩き出す。



「空良」


「何?」


俺の方に振り返る空良と高良くんの表情がかぶる。



「高良くんってお前と似てるよな」


「なんだよ、いきなり」


意味分かんねぇ…って小さく笑った。



今、俺何を言おうとしたんやろ…。



< 46 / 474 >

この作品をシェア

pagetop