ご主人様はお医者様
静かに歩みを進める平賀先生の視線の先には沢木さんがいて――……。
2人が手を取り合った瞬間に、思わず涙がこみ上げてきた。
「……小春、泣くの早過ぎ」
「だ…って」
彬はそんな私にあきれているようだったけど……、
あの日から平賀先生と打ち解けた私は、二人のを一番近くで見守ってきたの。
この日を迎えるまで、とても大変だった・・・
平賀先生のご両親はこの結婚に猛反対で、
婿にもらうなら絶対医者じゃないとダメだって譲らなかった――。