ご主人様はお医者様



「――……でも」


「でも?」


「こういう事くらいは、ここにいる両親へ一番はじめに報告してもいいよな」



彬は私の肩の両手を置いて墓石に向かってこう話しかけた。




「父さん、母さん。この人が俺の一番大切な人です」



それから、スッと私の前に跪く。




「小春、俺と結婚してほしい」




彬の肩越しにキラリと星が流れて、この瞬間を天国にいるご両親が祝福してくれように思えた。







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