ご主人様はお医者様



フワフワの泡に包まれながら、先生と入る初めてのお風呂。


向かい合うようにしてお湯につかる。


1人じゃ大きいジャグジーつきのバスタブも、2人だと少し狭い。



「少し窮屈だな」


「そう……ですね」



でもね……、


その狭さが先生との距離を縮めてくれているようで、私はうれしい。






私は先生に今日の出来事を話して聞かせた。


香澄の事、


映画の事、


おいしかったイタリアンレストランのディナーの事。


私の話を頷きながら聞いてくれる先生。


心が温かくてふわふわしているのは、のぼせちゃったからなのかな?




違う……、



先生が傍にいるから――だよね。



――先生、ダイスキ



溢れ出してしまった気持ちはこのお湯のように熱くて、言ってはいけないと分かっていても――その流れはもう止められなかったんだ。



「スキだよ、先生」


「俺も……」



――えっ……、
今なんて?




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