田舎の花~原爆を生き抜いたシイエ~
幸枝と番頭はそそくさと灯が灯り出した華街をあとにする

薄暗い長い坂を下り店を目指す間二人は口をきかなかった

番頭は自分だけが幸枝の別の顔を知ったのだと少しだけ嬉しく思った

今日の幸枝は自分が今まで知っている「奥様」とは別人だと感じていた

そして…この事は誰にも言わずに自分の胸にしまっておくと心に決めた
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