田舎の花~原爆を生き抜いたシイエ~
幸枝の貫禄はいつもと違う空気を作り出す

「シゲさんも元気そうね、少し歳とった?あたしもだけど…」

「いえ…お幸さんはまだまだ若いです」

そこへ親分が口を挟む

「お幸…久しぶりに一緒に飲まんか!今日は俺の誕生日たい」

「源さん、ごめんなさいね、今日は仕事できてますから…これで失礼いたします」

「そうか、無理は言われんな…国夫君は元気にしとるとか?よかったら帰ったらここへやってくれ!飲みたいのでな」

「ありがとうございます、申し伝えます…では失礼いたします」

「シゲ!送ってやれ」

「いえ…番頭さんがおりますので…シゲさんもお元気でね」

おかっさまが玄関まで見送る

「あとから国夫さんと一緒にいらっしゃいな」

おかっさまにそう言われ曖昧な返事を返して立ち去った

幸枝は気乗りがしなかったのである
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