逢いたい夜は、涙星に君を想うから。


――――――……



咲下が転校してから、1ヶ月以上が過ぎていた。



その間に行われた合唱コンは3位に終わり、



お決まりのクラスの打ち上げは、結果なんて全く関係なく、いつもどおり大盛り上がりだった。



合唱コンも終わり、学校生活はいつもどおりの平凡な日々を送っていた。



――キーンコーン、カーンコーン。



3時間目。



授業の始まりのチャイムが鳴る。



クラスメートたちは音楽室へ行き、俺は誰もいない教室にひとりいた。



窓から青い空を見つめる。



咲下もどこかで



この空を見てんのかな……。



「橘?次、音楽だよ」



振り返ると、くぼっちが教室のドアのところに立っていた。



「知ってる。サボるわ、俺」



「サボるの?まぁー合唱コンも終わったしな!俺も付き合うぜっ」



「…………」



「なにその顔は。俺が邪魔なのかしら?」



そう言ってくぼっちが、ニコニコしながら俺のほうへと歩いてくる。



「ふっ……別に何も言ってねぇーじゃん。なんでオネェ口調なんだよ」



「咲下への愛を俺にも少しは分けなさいよぉ」



「……それはムリ」



俺は自分の席に座り、マンガを読み始める。



「やっと冗談で返すようになったな」



そう言ってくぼっちは俺のほうを向いて、前の席に座った。



「咲下がいなくなって寂しい?」



俺はマンガに目を向けたまま答える。



「……聞くなよ」



「寂しいよなぁ?」



「……ん」
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