逢いたい夜は、涙星に君を想うから。


くぼっちは犬を撫でるかのように俺の頭を掻きまわした。



「かわいいでちゅねぇ、琉生くんてばぁ。寂しいのねぇ、ほー、そぉでちゅかぁ~」



「あーキモイ、キモイ。うざいって……」



俺はくぼっちの手を跳ねのける。



「本当、俺に塩対応すぎるよ、おまえ」



「んー。くぼっち、菓子食う?」



「食べるーっ!」



目をキラッキラッ輝かせて喜ぶくぼっち。



どっちが犬だよ……。



腹へってたんだな。



俺はカバンの中からスナック菓子を取り出して、くぼっちに渡す。



「さんきゅー!もーさぁ、なんなの?そのツンデレ」



「別に普通だけど?」



俺はマンガのページをめくる。



「咲下の前では、どーせ、そんな態度じゃなかったんだろ?」



「んー。大切な人には優しくしないとな」



「そーだよなぁ……ってオイ!俺の立場……!」



くぼっちは自分の顔を指差して、俺を見る。



「……くぼっちは……まぁ、特別?」



「あらまぁー。俺も好きよぉ~。おまえは特別よぉ~」



そう言って今度は俺の頬をさする、くぼっち。



「うぜっ」



「はぁー。おまえイイヤツなのにな?」



「それはどーもね」



「なのに、なんで咲下に振られたんだろうな?」
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