逢いたい夜は、涙星に君を想うから。

あたしは橘くんの隣に立ち、バルコニーの柵に寄りかかった。



上は黒いパーカーで、下はスウェットのズボン姿の橘くん。



何を着ていてもカッコイイ。



あたしなんて……水玉模様の黄色いパジャマ。



こんなことなら、可愛いパジャマを着てくればよかった。



ピンク色のパジャマとか、ハートとか星柄の模様のやつ。



もっと女の子らしいパジャマを買っておくんだった。



ちょっと後悔……。



「これ着てな」



そう言って橘くんは、自分が上に着ていたパーカーを脱ぎ、あたしの肩にかけてくれた。



あったかい……。



「橘くん、寒くない?」



「うん」



ロンT姿の橘くんは、柔らかな笑顔でうなずく。



「ありがと……」



本当……優しいね。



「咲下も星空が見たくて来た?」



「あ、うん。ジュース買いに来て……そしたら、バルコニーが目に入ったから……綺麗な星空だね」



「ホントだな」



胸がぎゅって締めつけられる。



なのに、この苦しさが全然イヤじゃない。



恋する痛み。



好きな人を想う痛みだと思うと。



なんだかとても幸せで愛おしい。
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