TENDRE POISON ~優しい毒~
どうしよう!
あたしどうしたらいい!?
こんな展開になるなんて……
あたしは頭でっかちでずる賢くて計算高くて、いつも人を見下した態度で接してて……
そんなあたしを何の損得勘定もなしで好きになってくれる人間なんていないと思ってたのに。
だから自分自身恋なんてしないと思っていた。
“恋愛”なんてあたしの頭の辞書には存在しない。
恋なんてそもそもばかばかしいと思ってた。
夢中になる理由が分からないって……思ってた。
でも、梶は違った。
そりゃ最初はあたしの見た目を好きになったかもしれないけど、もう一年近くも友達やってる。
こんな酷いあたしのことを好きになってくれた。
どうしよう……
あたしは当てもなくロビーを行ったり来たりしてた。
受付のお姉さんが怪訝な顔であたしを見てる。
早く戻らなきゃ。
梶もきっと変に思う。
そんな風に思ってたら、
「ここのカラオケでいい?」
と男の声がして団体客が入ってきた。
その男の声に聞き覚えがあった。
あの保健医の声だった。