TENDRE POISON ~優しい毒~

◆午前5時の後悔◆




◆◆◆◆◆◆◆◆



僕がロビーに戻ると、エマさんが心配そうに僕を覗き込できた。


「生徒さん大丈夫だった?」


「……うん。もう帰るって」


僕が沈んだ顔してたからかな、まこが


「担任でもないんだし、いい加減あいつの心配するのもやめろよ」


と言った。ちょっと呆れてる。


「部屋空いたよ~」とアミさんの声で僕たちはそろって顔を上げた。






部屋に入っても、相変わらずまこは千夏さんにべったりだ。


いちゃいちゃしてるようには見えないけど、仕草や言葉遣いがいつものまこより数倍優しい。


こんな表情をするんだ。こんな仕草をするんだ。



まこの新しい一面をいくつも発見した。




「神代先生、ほらどんどん入れちゃって。僕らは入れたから~」と和田先生。


僕の隣ではエマさんがドリンクのメニューを開いていた。


歌う気にもなれず、僕は何となくエマさんのメニュー表を見つめた。





「あ、何か飲む?」


エマさんが目だけをあげて控えめに聞いてくる。


「うん。じゃぁジントニックを。エマさんは」


「あたしも同じのを」と言って微笑んだ。




最初は鬼頭と似てると思ったけど、それほどでもないな。


鬼頭には……


目力がある。



大きな目でまっすぐにこちらを見つめてくる。決して逸らさない、力強い独特の視線。






鬼頭……



もう帰ったかな?







< 153 / 494 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop