TENDRE POISON ~優しい毒~

「ごめん。電話終わったよ」


神代が寝室から出てきた。


心なしか顔色が優れない。神代にとって電話の相手は朗報を届けてくれる相手ではなかったようだ。


「ん。いいよ。気にしてない」


誰?誰なの?


気にしてない振りをするのが精一杯だった。


何もなかったように振舞うのが、今はちょっとしんどい。




何でかな……




あたしはイケメンコンテストの用紙を畳むと脇に避けた。


とてもじゃないけど、今はこんなことやってる気分じゃない。


「コ、コーヒーでも飲む?」


神代が気を使いながら、キッチンの方へ行こうとした。


「いい。あたしシャワー浴びてくる。昨日、入れなかったから気持ち悪いんだ」


「……そっか。一人で大丈夫?」


「手伝ってくれるの?」あたしが意地悪く笑うと神代は目に見えて慌てた。


「や!それは!」


「分かってるって」


あまりの慌てぶりに思わず笑っちゃった。




何でもない振りして、心のわだかまりを隠して、あたしは必死に笑顔という仮面を取り繕っている。


前は何でもないことだったのに、


何でかな?


今はそれがひどく億劫だよ。




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