TENDRE POISON ~優しい毒~
「まぁお前の好きってのも、錯覚だろうけど」
保健医のあたしの頭を撫でる手が止まった。
「ちょっと誠人!」千夏さんが咎めるように口を挟む。
「だってそうだろ?ずっと一緒にいりゃ、ちょっといいかもって思って勘違いしてるんだよ、お前は」
勘違い―――じゃない。
あたしは……優しいけど頼りなくて、間違ってることでも一生懸命で。こっちがアホらしく思うことにも決して背を向けない。
そんなあいつのことを―――いつの間にか好きになってたんだ。
一くくりに“恋”って言ってしまえばそれで全てが納得いく。
でも……
「先生何か勘違いしてます。あたし神代……先生のことなんて何とも思ってません」
この気持ちにふたを閉めなきゃ。
あふれ出しそうになる、この気持ちを止めなくては。
この感情に背を向けなければ、
復讐は終わらない。