TENDRE POISON ~優しい毒~

深夜―――


保健医はソファ居間のソファで眠っている。


あたしは千夏さんと一緒に保健医のベッドに眠ることに。


千夏さんはあたしの隣ですぐに眠りについたけど、


あたしは眠ることができなかった。




起きだして、ベッドの端に腰掛ける。


窓に張られた木枠を月の光が照らし出し、青白い影をあたしに落としていた。


十字にめぐらせた木枠の影はまるで十字架のようにあたしに降り注ぐ。






罪を―――犯した。



あたしは乃亜を裏切った。





神様に咎められているようだ、と思った。




保健医は何であたしのことを簡単に見破ったんだろう。


たぶん、彼が大人で、彼自身も同じように辛い恋を乗り越えてきたから……だ。





あたしは手のひらをじっと見つめた。




「錯覚……だったら、どんなに良かっただろう」


でも月を見ると同じ名前を持つあの男の顔を否応にもなく思い出してしまう。


頭に浮かべては、それが消えないことを願っている自分がいる。




それでも



あたしはやらなくてはならない。



乃亜に誓ったんだから。





だから、この気持ちにふたをするの。



あたしのやろうとしてることがどんなに罪深いことでも、





神に誓ったのだから。











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