TENDRE POISON ~優しい毒~

◆午後10時の共犯者◆


◇◇◇◇◇◇◇◇

嘘!


何で神代がこんなところにいるの!!


あたしは慌ててバッとエスカレーターの影に身を隠した。


神代はしばらくきょろきょろしてたけど、諦めて出入り口から出て行った。




――――

――


神代、ちょくちょく乃亜姉のお見舞いに来てたのかな。


乃亜姉の自殺に責任感じてたみたいだもんね、当然……か。


てことはあの白いチューリップも神代が?





あたしはソファの上でごろりと横になって乃亜姉と明良兄のツーショット写真を眺めていた。





「今日千夏は夜勤だ。したがって今日は俺とお前だけ」


ふいに保健医がキッチンから声を掛けてきて、あたしは慌てて写真をしまった。


「そ。二人きり……か」


「そ。二人きり。お前とゆっくり話せるなぁ」


保健医はくわえタバコをしながら、何やら意味深な口調でこちらに来た。


手にはビールの缶とパスタがのった皿を持っている。



< 366 / 494 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop