TENDRE POISON ~優しい毒~

―――


ぐったりと力が抜けた鬼頭を腕に抱きながら、僕はベッドに横になった。


「死ぬかと思った」


鬼頭は魂の抜けたようなぐったりとした表情でぼんやりと天井を見てる。


「そんな大げさな」僕は笑った。


だけど、実際女の人にしか理解できない痛みだよね。


ごめん、鬼頭。


心の中で僕は反省した。




腕の中でぼんやりと天井を眺めていた鬼頭がふいに口を開いた。


「死ぬって痛いのかな」


初めてのセックスの延長線上の言葉だと思ったんだ。何の意味もない……と。


「何言って……」


僕は笑いながら言いかけたが、すぐに口をつぐんだ。




鬼頭の顔が驚くほど綺麗な無表情を浮かべていたから。




鬼頭……


何を考えてる。




君は何を見ようとしている。





僕はこのとき鬼頭がどこか遠くへ行こうとしているように……



見えた。









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