TENDRE POISON ~優しい毒~
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地元に戻っても、僕たちの平穏で甘い生活は続いた。
鬼頭と一緒にごはんを食べて、時々僕が借りてきた映画を一緒に見て
一緒の夢を見たいね、なんて甘い言葉を交わしながら、一緒にベッドに入って抱き合って眠る。
あんまり鬼頭を独り占めしてるのが気に食わないのか、ゆずは僕の上にのしっと乗っかかってくる。
うんうん唸りながらも、鬼頭は微笑ましいと言って笑った。
二人+一匹。
幸せな日々だった。
でも、時折思う。
この幸せは自ら作り出したものではなくて、何者かの手によって創り出された幻想なんじゃないかって。
いつかあっけなく崩れ去るんじゃないか、って。
僕は幸せを感じる傍ら、いつもその影がすぐ傍までやってくることを感じとっていた。
「あれ?その服、どうするの?」
鬼頭がクリスマスデートのときに着ていた白い服を紙袋に詰めていたところを見て僕が声をかけた。
「クリーニング出すの。ずっと行けずに居たから」
「じゃぁ僕が出しておいてあげるよ。ちょうどコンビニにいく予定だったから」
「そ?じゃあお願い」
僕はその紙袋を受けとった。
紙袋の口から、白いレースがちらりと見えた。
やっぱり―――
これには見覚えがある。
それもはっきりとどこで見たのかさえ記憶に残ってる。
鬼頭―――君は……?