TENDRE POISON ~優しい毒~


「ご、強姦罪で訴えてやる!」


あたしは余裕の保健医の後ろ姿に向かって怒鳴った。


保健医はくるりと振り返ると、にやりと笑みを湛える。


「どうぞ、お好きなように。俺はこの学校にいたくているわけじゃないんでね」





なんて奴―――!



「あんた神代の何なの?友達のため?友達でもここまでしないよ!」


「水月とは親友。大学時代からのね」


保健医は机と対になってる椅子に優雅に腰掛けた。






「友達だから……大切な奴だから、ここまでするんじゃない?」




投げかけれた視線や言葉をあたしに向けられているのに、その感情はどこか遠くを彷徨っているように思えた。



だけど



―――『大切な奴だから』


その言葉があたしの心に沈む。





あたしだって乃亜の為に、やろうとしてることはこいつと変わりない。






あたしがやろうとしてることは……



正しいことなのだろうか―――?






< 76 / 494 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop