僕の死に方
 ずっと考えていた。僕の体現し得る範囲で、どんな理想の死に方が出来るのか。
 誰かを庇って死ぬとしたら、誰を庇って死ぬのが、より印象が強いか。
 誰かに殺されるとしたら、誰に殺されるのが、より印象が強いか。

 僕が庇う人間は、藤見正信を苛めていた人間。

 そして僕を殺すのは、僕が今まで助けてきた、藤見正信。

 藤見正信には、僕を殺す気など無かっただろう。
 だからこそ、僕の死はより重くなる。

 これでいい。これが、僕の理想的な死に方。

 藤見正信の振り上げたナイフが、僕に迫ってくる。

 ああ、これでやっと、

 僕は、死ぬことができる。
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