僕の死に方
 礼の言葉なんて、僕にとっては何の意味も無い。
 僕の唯一の目的は、果たされなかったのだから。
 藤見正信はもう、僕を殺すことは出来ない。
 ならばこの関係は、煩わしいだけだ。解消してしまいたい。
 だけど、それは出来ない。僕は理想の死に方を遂げるその日まで、他人に優しい自分を演じ続けなければならないのだ。

「本当によかったよ。きっと藤見くんなら、正しい答えを出してくれるって思ってた」
 嘘で塗り固められた言葉の上に、失望が滲み出そうになるのを、必死で堪える。
「最初から、こうなると思ってたんだ」
 本当に残念だ。僕の思い通りには、ならなかった。

「キミなら、思いとどまってくれると信じてたよ」
 キミなら、僕を殺してくれると思っていたのに。
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