僕の死に方
 僕を刺したのは、僕と同じ年頃の男性。
 一度も見たことの無い顔。全く関わりの無い、赤の他人だ。
 僕は彼に、聞いてみたくなった。
「な……ぜ……?」
 血でつっかえる喉を鳴らし、振り絞るように声を出す。
 僕を見下ろしていた彼の表情が、怪訝そうに歪む。
「……ナゼ? そんなことを聞かれたのは、初めてだよ。今までの人達は、助けて、とか、死にたくない、とか言ってたのにさ」
 うずくまっている僕に目線を合わせようと、彼が深く腰を下ろした。
「そうだな。理由というか……唯一、単純な動機をあげるとすれば」
 穏やかに微笑んで、一言。

「ただ、殺したかっただけさ」

 ――ああ、なるほど。
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