僕の死に方
 うん、ああ、でも、やっぱり駄目かな。
 僕を殺してください、と誰かに頼んでみるとしよう。
 一体、誰が引き受けてくれるというのだろうか。
 人を殺めるというのは、人の死は、常人にとっては想像を絶するほどに重いだろう。
 こうして死にたがっている僕でさえ、他人の命を奪うということは、したくない。

 それなら、今現在平気で他人の命を奪っている通り魔でも、探してみようか?
 狙われやすいように、深夜にでも住宅街を徘徊してみる?
 そんな方法、確実じゃない。
 そもそも、そう簡単に見つからないから、今でも犯人は特定されていないわけで――。

 それに、せっかく死ぬというのだから、保険金以外にも残したい。
 僕は、理想の死に方を探しているんだ。
 自分の命を締め括る、人生の最期。少しくらい、欲張ったって構わないだろう。
 どうせ残すなら、名誉も――。
 これらを内包しきる、理想的な死に方といえば……。
 一体、何があるのだろうか。
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