約束の日

「お待たせ!」

ドアの前に立つ男は

息を切らせながら微笑んだ。

「ほんとに心配したんだからね!」

腕を組み、頬を膨らませる女。

「仕方ねぇだろ…大変だったんだからな。」

男は小声で囁く。

「もうめちゃくちゃ急いだんだぞ?…さっきそこで男とぶつかったし。」

視線を走ってきた方向…エレベーターのある方に向ける。

「でもまあ、無事「成功」したようね。」

男の手に握られた紙袋を見て、女は口角を上げた。
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