約束の日
「シッ!声が大きいわよ」

慌てたように周りを見回しながら、

口の前で人差し指を立てる女。

「聞こえねーよ。」


女はかつて、振り込め詐欺グループを束ねる
詐欺師だった。

巧みな言葉で相手を信用させ、
まんまと大金をせしめる。

しかし、ある日部下の一人が警察に捕まり、
取調べから組織の実態が明るみに出てしまった。

リーダーである女は、組織が完全に崩壊する前に解散を宣言し

このマンションに一人、隠れるように住み込んだ。

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