クリスティアナ
部屋に行くと、ガラムはすでに来ていた。


キースは寝台の上に静かにクリスを横たえた。





§ § § § § §




「ゆっくり休めばすぐによくなるでしょう」



クリスを見終わったガラムがリリアに言う。



少し離れたソファーに座っていたキースも当然のことながら聞こえている。







それからしばらくして目が覚めたクリスは寝台の上で飛び上るように起き上がった。



俺……あぁ……そうだ……。



庭で吐いてからの記憶がない。



「気分はどうだ?」



キースの声が聞こえて心臓が止まりそうなほど驚いた。



「なんでいるんだよ」



「どうしてだろうな?」



キースにも分からなかった。



側についていてやりたかったのだ。



キースの形の良い唇が目に入り、頬が熱くなる気がした。



クリスは分からないようにうつむいた。



「……」


「今日のお前、きれいだったぞ?」



「女ったらしに言われても少しも嬉しくない」



酒場で女たちに人気だったあの時の事をふと思い出した。



「素材はいいんだ 言葉さえ直せばすぐに夫が見つかるだろう」



いや、それどころかこの珍しい髪の色に惹かれて求婚者は後を絶たないだろう。



すぐに夫が見つかるだろう。



キースの口から出た言葉にクリスの胸が痛くなる。



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