クリスティアナ
外套のフードは外れていてストロベリーブロンドの長い髪が床に広がっている。


「なんとまあ……」



女主人はその見事な髪の色に唖然となる。



床に膝を着き、顔を隠している髪を払うと呼吸が苦しそうなきれいな顔が見えた。



「この子、女の子だったのかい!?」



現れた時は外套のフードを深くかぶり、自分の事を俺と言っていたのでてっきり少年かと思っていた。



前金を払ったので少年でも泊まらせたのだ。



苦しそうだがきれいな顔をしばし食い入るように見つめていた女主人はハッと我に返った。



「いけない!いけない!この子をどうにかしなくちゃいけないね!」



体格の良い女主人はクリスを抱きかかえると寝台の上に寝かせた。



「こんなものを着ていちゃ窮屈だろうに」



小柄で華奢な娘の外套を脱がすのは簡単だ。



額に手を置くと高熱である事がわかる。



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