ミルクティー
「そろそろ新しい恋…しなきゃなー」



この5年間で私はどこか変わったかな?

唯一、変わった事といえば…

ミルクティーが落ちなくなった。

熱を無くし今は冷えて、量が少し減ったような感じがする。



そして海斗の願いをいまだに叶えられていない。


『雛那ちゃんはこれから先、誰かを好きになると思う。


だからどうか幸せになってください』



これは一番難しいと思う。

だって、他の人を好きになれそうにないから。



「海斗も難しい事言うな…

もっと簡単な事にしてくれればいいのに」



何回、同じ事を考えただろうか。


けど、海斗の願い

「叶えられるように頑張ろうっ…」


私は1人で家を目指す。

4月からは仕事が始まる。

私は近くの病院に就職が決まっている。

この病院には結衣さんも働いている。

就職が決まった時に結衣さんに連絡をしたらとても喜んでくれた。


「雛那ちゃんと一緒に働けるのね!!4月が楽しみ♪」


結衣さんのテンションは相変わらず…

けど結衣さんのテンションに私は何度助けられただろうか…

海斗との事が辛い時は結衣さんに何回も相談した。

そうするといつも結衣さんは優しく話を聞いてくれ、ご飯に連れて行ってくれたりした。


「私も結衣さんのような看護士さんになろっ」


―――――――――――

家が近くになるとマンションの前に黒のスーツを着た男の人が立っていた。

遠くて顔は見えなかった。

雰囲気が海斗に似ているな~…

1人で考えながら歩いていた。

私は気にもしないで家に入ろうとした。


けど、突然声をかけられた。

「すいません、今日隣のマンションに越してきた者ですけど…」



聞いた事のある声、

違う忘れもしない声。


私は急いで振り返った。





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