キミを想うトキ

「てか橘さんって…誰?」


「へ?」



意外な答えに
見事に間抜けな声が出た




「俺、そんな知り合い居ないけど。」


付け足すようにそう言った飴玉男に
あたしは一気に力が抜ける




何だ……


よかった……。





例えば
橘さんが飴玉男の事を好きだとして


でも接点がなければ近付く事は出来ない





彼女は見るからに大人しそうで


恋愛の一つもした事ない



そんな印象





うちの学校は
男子が8割を占めてるから


女の子自体が貴重な存在で
それに加えあんな素朴な子が来たら
バカな男共は群がる





不安になった自分が情けなくなった



「あ。そう言えばさぁ。」


思い出したように口を開いた飴玉男に
あたしは視線を横に向けた





< 192 / 259 >

この作品をシェア

pagetop