凶漢−デスペラード

4…覚醒

リュウちゃんがアタシに頼み事をしてくれた…

内容なんてどうでもよかった。ジュリはその事だけで充分だった。

アタシが力になって上げられる……

それだけで充分……

竜治に言われた番号に、公衆電話から掛ける。

10回程呼び出し音がなって、漸く相手は出た。

「田代さんだよねェ、この前、クラブノースで声掛けられたんだけど、今日はいい気持ちにさせてくれるやつ無いの?」

(………)

相手は警戒している。

何とか話しに乗って来させなければ……

「葉っぱなんかより、すっごく気持ち良くなるからって、この前誘ってたじゃん。ねえ、お金ならちゃんとあるからさ。アタシ、風俗やってるから金はあるよ。それに…」

(それに?)

食いついて来た…

「これやると、Hすんのも百倍気持ちいいって言ってたじゃん?試してみたいなァ…」

(風俗やってんのに、男に飢えてんのか?)

「客とプライベートは、べ、つ…ねえ、あるの?無いんなら他の奴当たる…」

(待てよ、焦んな…今、何処だ?)

「ノースの近くだよ。」

(…判った。今、俺の手持ちが少しある。一回分でも構わないんだな?)

「そう、とにかく、直ぐに飛んじゃいたいの。仕事でむしゃくしゃしてんだから。」

(じゃあ、俺が最後迄面倒見てやるよ。そっから歩いて2分、アモーレというホテルに居るから、顔出しな。)

「アモーレだね、何号室?」

(ホテルの前に着いたら電話しな。今度は公衆電話じゃなく、ケータイでな。持って無いとは言わせねえぞ。風俗やってりゃケータイは必需品だ。そっちが警戒するならこっちも同じだ。悪く思うなよ。一見の客ん時は誰でもこうなんだ。)

「…判った。」

(その変わり、顔合わしたら仲良くなれるぜ…お好みのスタイルでな…)

「アタシも楽しみにしてるからね…」

電話を切ったジュリは、悪寒を感じた。

電話だけなのに、田代という男の気色悪さが伝わって来た。

直ぐに竜治に電話を入れ、話した内容を言った。

「部屋の番号は教えて貰えなかった…ゴメンね。」

(大丈夫だ。気にすんな。奴もまだ部屋には入ってないんだ。今、別なホテルで3Pの真っ最中なのさ。)



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