凶漢−デスペラード
事前の宣伝と、警察関係には充分過ぎる位に金を注ぎ込んだ。

初め、大型カジノレストランと聞かされた警察関係者は、二の足を踏んだ。

「昔、赤坂暑が大々的に絡んでて摘発を喰った事があったろう、あれ以来カジノと聞くと敏感に反応する連中が多いんだ。」

「今度のは大丈夫です。100%アミューズメントですから。」

「いや、だからそれは表向きで…」

「いえ、表も裏も無し、正真正銘100%アミューズメントです。」

「じゃが換金とか出来るんだろ?」

「扱う景品の中に、正規の純金コイン、つまりクルーガーランド金貨や1オンスの延べ板を用意したり、商品券と交換して貰います。従来なら、それら景品の買い取りも店側が行っていたが為に、賭博行為に当たるとして問題になった訳ですが、換金するかしないかは店側は一切関知しないスタイルを取ります。金貨や延べ板は、その時々の売買レートで交換し、客側は、それを現金に換えたければ、自分で扱っている場所に売りに行けばいい。他の景品にしても、ビトン等のブランド品ならば、その辺の質屋ですぐに買い取ってくれます。要は、景品買い取りに店側が介在しなければ、100%アミューズメントが成り立つという訳ですし、高級ブランド品が景品として豊富に揃っていれば、女性客が喜びます。それと、肝心な事は、店内で使用するチップの購入金額を千円単位からにしとけば、ゲーム性という部分でパチンコ屋と何ら変わらず遊べるという訳です。しかも、簡単な食事も出来、アルコールも飲める…今時の若い連中は、とにかくスタイリッシュな遊びに飢えてます。百軒店の現状は風俗街という認識しか持たれてません。近くにクラブが建ち並び、幾分は雰囲気も変わってきてるとはいえ、やはり薄暗いイメージは残っています。どれ位税金を納めてくれるか判らない風俗店よりか、私が開くカジノの方がガラス張りというものだ。」

「税金に関しては管轄外だよ、神崎君…ま、澤村君からも頼まれてる事だし、君が今言った通りの営業内容なら私らからどうこう動く事は無い。くれぐれも裏で現金が動いてるなどと噂にならんようにな。」

渋谷警察のみならず、念の為に本庁にも話しを通したが、お陰で親栄会のトップに動いて貰った為、数千万の金が出て行った。
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