凶漢−デスペラード

2…シャブ

眠りの途中を無理矢理起こされたせいで、不快感が竜治の全身を包んだ。

電話越しに聞く河田の声が、何処となく田代と同じような、爬虫類的嫌悪感を
思わせ、尚の事、最悪な気分にさせた。

ジュリの姿はと見ると、洗濯物をバルコニーで干していた。

子供が着るようなキャラクター物のパジャマを着ていた。

洗濯物を干す度に背伸びをするものだから、パジャマの上着がずり上がり、腰の辺りがちらちらと見える。

着ている物と、ちらちら見える身体の一部分とのギャップが、何故か猥褻な感じに思えた。

竜治は無意識のうちに欲情していた。

ジュリの側に行き、いきなり手を取り、寝室に引っ張って行った。

最初は突然過ぎて何が起こったのか判らなかったジュリも、ベットに押し倒された時に全てを察した。

乱暴に着ている物を剥ぎ取られ、あらわになった乳房を揉みしだかれ、もう一方の手で茂みの奥をこじ開けられそうになった時、ジュリは反射的に強く両腿を閉じた。

火が点いたかのような竜治の動きは、ジュリの抵抗で、寧ろ激しさを増した。

唇を強く吸い、喘ぐジュリの手を自らの股間に導いた。

観念したかのようにジュリの身体から力が抜け、竜治のされるがままになっていった。

本能と欲望の赴くままの律動が、ベットの上を支配した。

ジュリの裸身が、嵐の海に投げ込まれた難破船のように揺れた。

頂き迄、一気に疾走した。

竜治の身体がジュリの上に崩れた。

竜治がジュリをこんなふうに抱いたのは、初めての事だった。

ジュリが身体をずらし、半身を起こした。

ベットサイドのテーブルからティッシュを取り、無言で竜治の後始末をし、そして、自分のも同じようにした。

竜治は、まるで自分がジュリの客にでもなったかのような気分になった。

後味の悪さが二人の間に漂った。

こういう時に、どう女に言葉を掛けてよいものか、竜治は判らなかった。

誰に腹を立てるでもなく、とにかくその場の無言の刃から逃れたくて、竜治はそそくさとシャワーを浴びて着替えた。

その間、ジュリはベットの上で両膝を抱えるようにしてうずくまっていた。

着替え終わった竜治は、無言のまま部屋を出た。
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