小さな恋【完結】
「……もう、来れないよな?」
「え?」
「また来てほしいんだ。真依子になら安心して唯を任せられるから」
「でもあたしは……」
一回だけという約束で大知の家にやってきた。
次はないんだ……。
「ごめんな……。今の忘れて。俺、すげぇしつこいよな?」
言葉に困っていると大知は苦笑いを浮かべて、再びアイスを口に運んだ。
笑う直前、
ほんの一瞬だけ
大知は悲しそうな
苦しそうな
壊れそうな
そんな目をあたしに向けた。
それに気付いていたから、あたしはただ黙って俯くことしかできなかった。