小さな恋【完結】
「そうだ!!一緒に写真撮らない?」


大事なことを思い出して、カバンの中に手を突っ込む。



「これこれ」


不思議そうな顔の大知に、お父さんに借りた黒いデジカメを顔の横にかかげる。


「撮るか。さすがに、2年前の写真じゃ微妙だもんな」


「うん、そうだよ!!」


あたしと大知が一緒に映る写真は、中二の体育祭の時の一枚だけ。


2回目に付き合っている間、写真を撮るチャンスはいくらでもあったのに。


今思えばきっと必死だったんだと思う。


一秒でも長く、大知にくっ付いていたかったから。


大知の熱を感じていたかったから。



「いくよ~。はいチーズ!!」


眩しいフラッシュで一瞬だけ、目が眩む。


あたし達は、何枚も何枚も時間の許す限り沢山の写真を撮った。
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