ネコ専務シリーズ
ネコ専務とシロは大慌てで木のダイニン
グテーブルの下に潜りこみ、揺れが収ま
るのを待っていたが、地震は長く、なか
なか終わらない。

スペイン産ワインの瓶は床に落ちて割れ、
液体が青いカーペットを濡らしている。

しかしこのとき、ネコ専務は気づいた。
「歓喜の歌」と「地震」は合う!!

一分ぐらい経ったのにまだ揺れる部屋の
中で、テーブルの下でドキドキしながら
身を伏せつつ、

そんなことには全く関わりなくスピーカ
ーから流れ続けるフルトヴェングラーの
ベートーベン第九を聴いたネコ専務の耳
には、

歓喜の歌と地震の揺れの組み合わせは
非常に良いものに思われた。

ネコ専務は感動して思わず聴き入って
しまったが、残念なことに、やがて地震
は収まり、第四楽章も終わってしまった・・
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