ネコ専務シリーズ
肉球探求の成果発表の後には、それに
関する激しい議論が続き、会議は終わり
に近づいた。

会議の最後は、議長によるスピーチで
ある。
ネコ画伯はそのために立ち上がったが、
三池女史の活躍ぶりに刺激されたのか、
おもむろに熱く自らの肉球観を語り始め
た。

「みなさん。みなさんもご存知のとおり、
 肉球は世界であり、宇宙である。
 
 過去であり現在であり、また未来でも
 ある。

 思えば、ネコが地球に誕生して以来、
 肉球はずっと変わらずネコのそばに
 いてくれた。

 肉球のないネコはなく、ネコと肉球は、
 土星と輪っか、カゼとカゼ薬、戦艦
 大和と沈没のような、切っても切れ
 ない関係なのだ。

 この得がたい友・肉球をわれわれネコ
 に与えてくれた何者かを仮に神と呼ぶ
 ならば、神は今、ネコに何を望むだろ
 うか?

 おそらく、ネコに、肉球をもっと活用
 してほしいと願っているのではない
 だろうか?」

そうだ、そうだと、会場のあちこちから
賛同の声が上がる。
ネコ画伯はその声に応え、続けた。
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