恋人と呼べる日
恋人と呼べる日


「なぁなぁ、後夜祭のジンクスって知ってるか?」

「何だそれ?」

「なんか、後夜祭を一緒に過ごしたカップルは一生幸せに過ごせるっていうヤツ」

「はぁー? 何それ。すっげー良くある話って感じじゃねー」

「いや、まぁ、そうなんだけどな。さっき、女子どもが騒いでるの聞いちゃってさー」

「なんだよ、お前、誰か目当ての女子でもいるのか?」

「うーん、まあ……」

「へぇー、誰だよ?」

「……緒方さん」

「……」

「何で黙ってんだよ」

「いや、だってまさかお前もとは」

「えっ? じゃあ、お前も?」

「だってさー、何だかあの子の側にいるとすっげー癒されるっつーか」

「あぁ、わかるそれ。ちっちゃくて小動物みたいでさ、表情なんてコロコロ変わって、笑顔がサイコーなんだよなー」

「うんうん。あの小さい身体ギュッと抱きしめて眠りてー」

「お前、何かやらしいぞ」

「いや、そういう意味じゃ……。でも、まあ、オレも男だからそういう状況にあれば――」
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