ドキドキしてる
教室の目
「アオキくん」
「はぁい」
「…くん」
いつもの様に、朝の出席をとる私。
「ナガオカ…くん」
ゆっくり彼を見た。
窓の外をぼんやりと見てる彼は気づかない。
「長岡くんっ」
「あっ…はい!いますっ!」
今日は私を見ていなかった。
いつも出席をとるとき、自分の名前を呼ばれるのをジッと私を見つめながら待っている。
彼のその目は優しくて、生徒相手に恥ずかしくなる自分がいた。
でも今日は見ていなかった。
ホッとすると同時に、少しだけツマラナイという気持ちにもなっていた。
その日の昼、いつもの様に私は屋上へお弁当を持って上がった。
いつも、ご飯を食べ終えると歌をうたうからだ。
小さい頃は歌手になりたかったくらい、歌をうたうコトが大好きで教師になった今でも
こうして誰に聴かせるでもなく、大声で歌うために屋上へ来ている。
(どうせ誰も来ないし、気持ちが良いもんねーっ)
なんて大声で歌っていると…
「ック…!ァハハッ!!」
(え?!笑い声??)
「…!」
(やだ!誰かいる??)