School Life

1. 笑顔

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誰かに叩き起こされて目を開けると
知らない顔がそこにあった――…



さっきまでの夢のせいか
この前やってきた兄の使いのせいか

頭が瞬時に「敵」だと
警報をならした。



(……どうかしてる)



青すぎる空に目を細めて
風に乱される髪を


小さく震える手で押さえた。



副担任だと言う
惺と同年代の真面目そうな男と

制服を着た
いかにもモテそうな爽やかな男子。



(――犬、みたい)



拓真がちらばった楽譜に手を伸ばす

それに、思わず顔を顰める。



「勝手に触らないでくれない?」



感情のまま放たれた棘のあるセリフ。

どうやらまともに受け取ったらしい茶色の瞳が

怒られた犬のように
ビクリとこちらを向く。


「変な人」と
口の中でつぶやいて


彼の指先のそれを拾い上げた。



追い出されるように屋上を出てからも

ご機嫌をうかがうように
チラチラと送られる拓真の視線に


眉根に皺が寄る。



「めんどくさい……」



二人の耳には届かないほど
小さな声――…


足音にかき消された感情――

まだそれを感じられている自分に
小さく笑いを漏らした……。




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