カベの向こうの女の子
藤原、藤原、って耳障りなんだよ
春菜のこと、ちゃんと考えてますよ、思ってますよ、って…偽善に聞こえる
「春菜が傷つく?春菜は俺を心底信頼してるんだ。傷つくわけない」
俺は教師を睨んで、そう言った
それから、階段を乱暴に上がっていく
もうこれ以上、話す気にはなれなかった
イライラして仕方なかった
「俺も藤原には信頼されてるつもり」
後ろからしつこくもそんなこと言ってくる
俺は特に立ち止まりもしなかった
「俺と君、どっちが信頼されてると思う?」